#ザルツブルクの不人気ビアホール~ホテルザッハーのタルタルステーキ |
8月19日(金)、ザルツブルク。
今日は殆ど観光できなかったので、早めに晩飯を食べる。
ツィプファー・ビアハウス。(Zipfer Bierhaus)
オーバーエスターライヒ州ツィプフの醸造所で、オーストリア有数の
大手メーカー:ツィプファー(Zipfer) のビアホールである。
ザルツブルクには自家製ビールを提供するビアホールが何軒もあるのだが、
今日は観光が上手く捗らなかったせいで若干テンションが下がっており、
自家製ビールよりも大手メーカーのオーソドックスなビールを飲みたい気分だった。
店内はガラガラ。先客は1組か2組しかいない。
ザルツブルク旧市街のど真ん中という最高の立地条件にあるにも関わらず、
この空き具合はヤバいな。しかしもう他の店を探す気力は残っていなかったし、
混んでてうるさい店よりはガラガラの店の方が落ち着けて
今の僕らにとっては却って好都合だった。
偏屈そうな爺さんのウェイターに生ビールと料理を注文する。
返事一つせず、我々の注文が正しく伝わっているのかどうか不安になる。
あまり腹が減ってなかったので、料理は2人で一皿のみにした。
ツィプファーのウルティップ(Urtyp)。
ホップの香りと程よい苦味が心地いい。
この店、少なくともビールは普通に旨いじゃないか。
ツィプファーの看板商品はメルツェン(Märzen)だと
思っていたが、メルツェンは瓶ビールしかいなかった。
焦げ焦げのジャガイモ料理(笑)。
家庭科の調理実習かよ! 見た瞬間に思わず失笑した。味は見た目ほどは
悪くなく、焦げ具合も不快の許容値をギリギリ超えない程度に収まっている。
ウルティップの大グラスを1杯、次にウルティップの
小グラスを1杯飲んで、今度はヴァイツェンへ。
エーデルヴァイス。(Edelweiss)
サウンドオブミュージックの町ザルツブルクで「エーデルワイス」ビール。
うぅむ…ヴァイツェン特有の香りや仄かな酸味などが全体的に弱々しい印象。
ドイツのヴァイツェンの平均値よりだいぶ落ちると言わざるを得ない。
もういいや、会計して早く帰ろう。
偏屈な爺さんのウェイターが伝票を差し出しながら一言。
「この金額にチップは含まれておりません!」
接客態度は悪い癖にチップだけは一丁前にせびる、印象最悪のクソジジイである。
どうしてもツィプファーのビールが飲みたいという強い意思がある人
でもない限り、このビアホールには行くべきではない。
夜空に浮かぶホーエンザルツブルク城。
路線バスと徒歩でホテルに帰還。ザルツブルクでの冴えない1日が終わった。
―8月20日(土)。
ホテルのチェックアウトを済ませ、市街中心部へ。
モーツァルトの住居のすぐそばにあるカフェ「クラシック」で朝飯を食べる。
モーツァルトトルテ。
いかにもな名前のケーキ。チョコレートの強い甘味とムースの濃厚なコクが旨い。
モーツァルトの住居の前に、昨日行きそびれた生家の方を先に見ておきたい。
モーツァルトの生家。
ザルツブルクが生んだ偉大な音楽家、
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが生まれた家である。
(1756年1月27日)
モーツァルトの住居。
ザルツァッハ川の対岸にある、モーツァルト一家が1773年から住んだ家。
オーディオガイドを聞きながら、当時の楽器など貴重な資料を見て回る。
ホテルザッハー。(Hotel Sacher)
そう、あのザッハートルテのザッハーのザルツブルク支店である。
以前ウィーンの本店でザッハートルテを食べた(→参考)。
ザルツブルクのザッハーはモーツァルトの住居のすぐそばにある。
オーストリア旅行最終日、せっかくだからここで美味しい昼飯を食べよう。
シュティーグルのアルコールフリービール。(Freibier)
これから車の運転が控えている。アルコールフリーもなかなか行ける。
チキンカレー。
嫁の注文はお得なランチメニュー。
ザッハーのカレーってイメージ湧かないが、普通に美味しいようだ。
タルタルステーキ。
食後にデザートを食べることも考え、比較的軽めのタルタルステーキを選択。
何せあの名門ホテルのザッハーである。きっとタルタルステーキも旨いに決まってる。
実際目の前に運ばれてきたのは、見るからに新鮮そうなタルタルステーキだった。
「…!!」
タルタルうめぇ!
超新鮮で濃厚、生ならではの牛肉の旨味。
そして肉の味を最大限に引き立てる香辛料の絶妙な塩梅。まさに一流の仕事である。
ピクルスやタマネギのみじん切り、トロリとしたウズラの卵の黄身もいい。
あぁ、幸せ…上質なビーフタルタルをじっくりと味わう。
嫁のデザートは、バニラソースがたっぷりかかったアイスクリーム。
旨そうなケーキ。
これは自分のデザート。現物を指差して注文したので正式名称はわからない。
ビスコッティに染み込んだ洋酒の香り、上質な生クリームのコク。
旨いなぁ…甘いけど、クドい甘さじゃない。レベルの高さに思わず感心してしまう。
タルタルステーキにデザートのケーキ。最後に美味しいものを食べられてよかった。
満足感に浸りながら路線バスでホテルに戻り、車で長い帰路に着く。
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以下、恒例の土産紹介。
ザルツブルクのミニチュアとマグネット。
残念ながらザルツブルク観光は少々不完全燃焼だった。いつか再訪したい。
チロル地方のハム、サラミ類。
左から大手メーカー:ハンドル(Handl)のKaminwurzerl、ラントイェーガー、そして
乾燥ハムチップ。Kaminwurzerlはドイツのスーパーでも普通に売ってる定番商品で、
ラントイェーガーとともにシンプルで塩辛すぎず、肉の旨味が生きてて食べやすい。
最も興味があったハムチップはビールを飲んだ後に若干臭みを感じたものの、
ハムの旨味が凝縮してて単体としては申し分なく旨い。
一番右は黄金の小窓の近くにある生ハム屋「Speckeria」のチロルハム。
程よい塩気と燻製香、熟成した豚の旨味でビールとの相性は最高だ。
オーストリアビール。
左からVillacher、Zillertal、Starkenberger、Stiegl、Gösser、Zipfer、Ottakringer。
帰国後しばらくしてから飲み比べしたが、それぞれ特徴があって楽しかった。
#ザルツブルク初上陸 |
8月19日(金)。
インスブルックから車で3時間弱、ザルツブルクに到着。
今さらながら宿代をケチったことを後悔している。
ここ、ほぼユースホステルじゃないか。フロントの姉ちゃんは不愛想だし、
今13時過ぎだけどきっかり15時までチェックインできないし。
ホテルから徒歩10分以内のところに開いてるレストランがあったのは
不幸中の幸いだった。テラス席に腰を下ろし、生ビールと料理を注文する。
シュティーグル。(Stiegl)
ザルツブルクのビール。凄く新鮮で、モルトの香りが香ばしい。
美味しい生ビールで運転の疲れが一気に吹き飛ぶ。
Kalbsbeuschel。(カルブスボイシェル?)
何だかよく分からない料理を注文してみたら、子牛の内臓料理だった。
細かく刻んだ内臓のクリーム煮、中央にはクネーデル(団子)が鎮座している。
なるほど、これがオーストリアのモツ煮込みか。
内臓好きの俺、歓喜。スプーンで団子を一口大に切り、モツ煮を絡めて口の中へ。
「…!!」
モツ、うまい!
子牛の肺(lunge)の新鮮で力強い旨味、プリプリの食感。
一瞬ウェイパー(味覇)っぽい味がしたと思ったが、恐らくモツのダシやら
アサツキみたいなネギの香りやらが合わさってそんな気がしただけだろう。
ビールとの相性は抜群、ご飯とも合いそうだ。
ポルチーニのタリアテッレ。
嫁の注文。一言で表すと「バター焼きそば」。これはこれで悪くないと思う。
―午後3時にホテルのチェックインを済ませ、路線バスで旧市街へ。
レジデンツ広場。
ザルツブルク祝祭劇場。
世界有数の音楽祭: ザルツブルク音楽祭の会場である。
今はまさにザルツブルク音楽祭の真っ最中、今夜はここ祝祭劇場で
モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」の上演がある。
当日券が手に入らないものか、ダメ元でチケット売り場に聞いてみると、
1人250ユーロだか350ユーロだかの席はあるという。うぅむ…。
無理。とても勢いで買える値段ではない。今回は諦めよう。
黒塗りの高級車で乗り付け、劇場の前を行き交う本物のセレブ。
ここは我々のような平民が居るべき場所ではないようだ。
丘の上に聳えるのは、ホーエンザルツブルク城。
モーツァルト像。
楽しみにしてたモーツァルトの生家が既に営業時間を過ぎていて入れず、
一気にテンションが下がる。
カフェ・トマセッリ。(Cafe Tomaselli)
創業何と1705年、モーツァルトも訪れたという超老舗のカフェである。
ベランダの鉢植えが美しい。ここで一休みしよう。
ケーキ、どっさり。
ケーキを食べたいというと、ウェイトレスの人がこうして様々な種類のケーキを
席まで持ってきて見せてくれる。どれも旨そうだなぁ…甘党でなくてもワクワクする。
嫁が選んだのは、チョコレートケーキ。別皿で生クリームも付けた。
メランジェ。
こんなオーストリアの老舗カフェに来たらメランジェを頼みたくなる。
生クリームの濃厚なコクがコーヒーの芳醇な香りと合わさって旨い。
結局今日は殆ど観光できなかった。今夜は早めに飯を食って切り上げて明日に備えよう。