5月31日(土)。
エメンタールチーズの工場を見学した後(→
参考)、車で
宿泊先の町
ラングナウ・イム・エメンタールへ移動する。
昔の木造家屋のような、素敵なゲストハウス。
ラングナウ・イム・エメンタール。
今夜は町の家庭的なレストランで白ワインを飲みながら、
本場のエメンタールをたっぷり使ったチーズフォンデュを味わいたい。
しかし、そんなレストランなど有りはしなかった。
ラングナウはエメンタール地方の中でもそれなりに大きな町だと
思っていたが、駅前に寂れたイタリアンが一軒あるくらい。
想像を絶するほどの超ド田舎である。
幸いというべきか、ゲストハウスには自炊ができるキッチンがあるので
スーパーで酒とつまみを買ってゲストハウスで食べることにする。
そういえば、ちょっと町外れにコープがあったな。
コープに足を踏み入れると、既に店じまいの最中だった。
ただ今の時刻は午後4時57分。土曜は5時に閉まるらしい。
駅構内の小さいスーパーが開いていなければ、
夕食を食べるために車で町の外へ出なければならなかっただろう。
ゲストハウスの庭には昔の馬の水飲み場のようなものがある。
さっき買った白ワインとガス入りのミネラルウォーターを
水飲み場の中に入れて冷やし、とりあえずシャワーを浴びる。
キッチンの冷蔵庫よりもこっちの方が断然気分が出るだろう。
今回は予算の都合でドミトリーに泊まったのだが、
10人ほどの自転車ツーリングのおっさんグループが来たおかげで
シャワーもしばらく待たなければならなかった。
夕食。
駅構内のスーパーで買ったエメンタールチーズ、ハム・サラミ盛り合わせ、
パン、白ワイン。旅先でこんな風に食事するのは初めてだ。
想像を絶するド田舎具合に最初は興ざめだったが、こうして
心地よい西日を浴びながら食事をセットすると一気に気分が回復してきた。
エメンタールチーズ。
大手メーカー・
エミー(Emmi)の製品。「♪スイスエミ〜」って、その昔
鷲尾いさ子がヨーグルトのCMをやってた、あのスイスエミーである。
良くも悪くもマスプロダクト(大量生産品)。昼間チーズ工場で買って食べた
エメンタールには到底叶わないが、オーソドックスで安定した旨さである。
生ハムはスモーク香と塩気が強いドイツ語圏風味。
白のスイスワインはレマン湖周辺の町シュブルのやつ。
シャブリじゃなくてシュブルね。
最初一瞬甘い香りがして、後から酸味とごく僅かな渋味が来る。
青空の下、柔らかい西日を浴びながらチーズとワインを味わう。
実に気持ちいい。世俗を忘れてしばし開放的な気分に浸る。
僕とほぼ入れ違いで推定30後半の欧米人バックパッカー3人組が
酒盛りを始めたのだが、彼らもやはりエミーのエメンタールを食べていた。
心地よいワインの酔いに身を任せ、二段ベッドの上の段で深い眠りに着く。