#ドイツビール紀行(ヴァルトハウス) |
8月5日(土)、黒い森。
シュルックゼーからバスを乗り継ぎ、「Remetschwiel Haagwaldhalle」で下車。
ヴァルトハウス醸造所を目指す。
目の前に広がる牧歌的な風景。
ヴァルトハウス醸造所。(Privatbrauerei Waldhaus)
ワールドビアアワードを始め数々のコンテストで受賞歴を誇る実力派ブルワリー。
黒い森地方及び周辺地域限定のローカルブランドだが、ビール大国ドイツにおいても
ここヴァルトハウスのビールはずば抜けて旨いと思う。ぜひ一度訪れてみたかった。
ヴァルトハウス醸造所直営のビアレストラン。今日はここで極上のビールを満喫したい。
時刻は午後12時半。屋外のビアガーデンは大勢の客で9割方埋まっている。
僅かに残った空席に腰を下ろす。
あいにくここはビアプローベ(利き酒セット)がないため、
300mlの小グラスで違う種類のビールを1杯ずつ飲むことにする。
ディプロム・ピルス。(Diplom Pils)
やはり最初は看板商品のピルスから。
屋外のビアガーデンだからか、底がすぼまったピルスナーグラスではなく
より頑丈な円筒型の取っ手付きのジョッキで出てきた。
ヴァルトハウスの直営ビアホールの生ビール。ついに念願が叶う。
「…!!」
おぉ、うまい!!
口に含んだ瞬間、ナチュラルホップのアロマがフワっと鼻を抜ける。
通常のビールは錠剤型のペレットにしたホップを使うのに対し、ヴァルトハウスでは
ナチュラルホップ=毬状のまま乾燥させたホップを使っているため数段香りがいい。
ホップの芳香と爽やかな苦味、モルトの青い香りが一体となって最高に旨い。
クルステンブラーテン。(Krustenbraten)
アテは焼き豚。ガッツリなドイツ飯とともに旨いビールをガンガン呷りたい。
出てくるのはとても早く、最初のビールを2-3口飲んだ時点で出てきた。
肉、柔らかい!
もっとガシガシ噛まなければいけない心づもりでいたが、想像より遥かに柔らかい。
きっと圧力鍋か何かで肉の繊維を柔らかくしているのだろう。
濃厚な豚の旨味でビールのピッチが一気に加速する。
クネーデル(団子)とザワークラウト。
ブイヨンが利いたクネーデル、マイルドな酸味のザワークラウト。
脇役も凄くいい仕事してる。
そして…
豚皮せんべい。
クリスピーな豚皮せんべいをパリパリ齧ると、香ばしい香りが鼻を抜け、
超濃厚な脂のコクと甘味がジワッと滲み出てきてビールが鬼のように進む!
豚皮せんべい単品で頼みたいとさえ思う。
ヘル。(Hell)
2杯目はヘレス。ピルスよりもモルトの香りと甘味が前面に出ていて、
かつナチュラルホップのアロマが香る。バイエルン州の硬派なヘレスとは
一味違う、ヴァルトハウスならではの繊細で洗練されたヘレスだ。
オーネフィルター(Ohne Filter)。
無濾過ビール。酵母のマイルドな口当たりと穏やかなモルトの香りがいい。
シュヴァルツヴァルト・ヴァイセ。(Schwarzwald Weisse)
ヴァルトハウスのヘーフェヴァイツェン。
酵母生き生き、まるでヨーグルトドリンクのような香りと飲み口。
バナナ香と酸味が前面に出る典型的なヴァイツェンとは全然キャラが違う。
どちらかというとライプツィヒのゴーゼ(→参考)のイメージに近いものがある。
生ビールは以上の4種類。エクスポート(Spezial Gold)、
オーネフィルター・エクストラハーブ(Ohne Filter Extra Herb)、
デュンケルは瓶ビールのみのため、再びピルスに戻る。
からりと晴れた夏空の下で味わう極上のビール。至福のひととき。
さらにもう1杯ピルスをおかわりし、心地いい酔い具合で会計を済ませる。
自然溢れるこの辺一帯は夏場の絶好のツーリングスポットとなっており、店には
黒いつなぎを着たバイカー客の姿も目立った。こんなところをバイクで疾走したら
さぞかし気持ちいいだろうが、ここでビールを飲めないのはあまりにも辛い。
ともあれ、ヴァルトハウスの直営ビアガーデンで新鮮な生ビールを味わえて本当に良かった。
ナチュラルホップの余韻に浸りながら、帰りのバス停に向かって歩く。
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