6月9日(土)、ヴェネツィア。
今日は船で別の島に行ってみよう。
ヴァポレット乗り場に辿り着くと、次の便までちょっと時間がある。
ここで軽く朝飯でも食べようぜ。
時刻は午前11時前、朝飯というより昼飯に近い時間帯だ。
昨夜遅くまで飲んでたから出足が鈍ってしまった。
ショーケースに並んだ軽食はどれも旨そうだ。
さっそく頂こう。
「…!!」プロシュート&ルッコラ。生ハムの芳醇な旨味とルッコラの爽やかな香り。
まさに相思相愛の関係。
アンチョビのパン? (こういうの何ていうんだろう。)
アンチョビ大好きなんだよなぁ…この熟成されたイワシの旨味。
トマトソースのフレッシュな酸味と抜群に合う。
モリモリカニサンド!とても気前がいい盛り具合なのでカニカマなのかと思ったら、
何と本物のカニ(缶)だった。カニって久しぶりに食べるなぁ。
特有の旨味とマヨソースのコク。
ちょっと
赤ワインでも行っちゃって宜しいでしょうか。
今食べてるパンはどれも白の方が合いそうだが、
今回まだ赤を飲んでいなかったので。
酸味と渋味がやや強め。昼間のワインってのはいいね。
ヴァポレットで約20分、
ムラーノ島に到着。
風情溢れる小さな島だ。
「…!!」ガラスのオブジェ。そう、ムラーノ島はあの
ヴェネツィアングラスで有名な島である。
さっそく向かったのは、
ガラス博物館。近いうちに開かれる特別展の準備のため、
館内の半分ほどが見られないという少々寂しい結果だったが、それなりに見応えはあった。
(入場料は7掛けくらいに割引されていた。)
お、ここにも
オブジェ。のどかな風景。
ムラーノに着く前は小雨が降ったり止んだりしてたが、青空が見えてきた。
せっかくだから何か一つヴェネツィアングラスを土産に買っておきたいね。
通りに林立するガラス製品の店を一軒一軒見て回る。
…たけーな。僕のお目当てはちょっとした酒のつまみでも盛れるような小皿。
綺麗な柄で10ユーロくらいまでだったら欲しいと思ってたが、
ちょっと良さげなやつは29ユーロとか41ユーロとか。
それより安いのだと格段にイマイチになる。
どうしよう…焦りを覚えながら店巡りを続ける。
「…!?」ワニのような、サンショウウオのような。
得体の知れぬ動物のガラス細工が僅か5ユーロで売られている。
その出来と値段から推し量って何かの失敗作と考えられるが、
微妙に味のあるフォルム。
これ、買っちゃおうかな。
その得体の知れぬガラス細工を手に取り、細部を丹念に眺める。
「えぇーっ?」彼女は極めて冷静だ。落ち着いて考えてみると、確かにこの
得体の知れぬガラス細工にはヴェネツィアングラスらしさがない。
一時的なギャグならともかく、この出来そこないの置き物が
ヴェネツァングラスの島を訪問した貴重な記念に相応しいだろうか。
何とか思い留まり、代わりに可愛らしい模様入りのガラス玉を購入した。
―午後2時過ぎ。
そろそろ小腹が空いてきた。
さっき食べたのが朝飯とすると、昼飯を食べなきゃいけない。
…まきまきピザ、食べたい。「まきまきピザ」とは僕が勝手に付けた名前で、いわゆるロールピザである。
ヴェネツィアに着いた初日から軽食屋の軒先に並んでるのを見て
もの凄く気になっていた。
まきまきピザ…まきまきピザ…。
念仏のように繰り返しながら「まきまきピザ」を探して回る。
連れはもう半ば呆れ返っている。
―まきまきピザ、あった!
こうしてプレス式の鉄板で焼いてくれる。
ベックス。とりあえずビール飲みたい。ドイツのベックスより薄く感じるのは気のせいか。
時間節約のため、まきまきピザは帰りのヴァポレットの中で食べることに。
まきまきピザ。パプリカ、ズッキーニ、キノコ、ルッコラ、チーズというベジタリアン仕様。
野菜の甘味とトマトソースの酸味が相まって旨い。