4月27日(土)。
今週末はどこにも行かず、家でのんびり過ごす。
今夜は先日パリで買ったボルドーワインを開けよう。
赤ワインに合う料理を作ろうとして思いついたのは、
牛肉の赤ワイン&トマトソース煮。スーパーで食材を調達し、昼過ぎから料理に取り掛かる。
牛肉の塊を適当な大きさに切って塩コショウを振り、
赤ワインに浸して軽く揉み込む。
牛肉は1キロ4.79ユーロのアンゲボート(Angebot=お買い得)品。スジと脂身が多い
スープ用の肉である。赤ワインはもちろん料理酒として使う紙パックの格安品。
タマネギとニンジンを適当な大きさに切る。
タマネギは2個買ったうちの1個が半分腐っていた。もったいないので
中のまだ腐ってない部分は使うことに。ニンジンはそのままだと硬くて切れないので
一度レンジで加熱して柔らかくしたのだが、少々加熱しすぎて皮を剥くときに
崩れそうになった。最初に皮を剥いてからレンジにかけるべきだったか。
マッシュルームとニンニク。
ニンニクは最初買ってきたやつにカビが生えてたので、慌てて
別の店に行って買い直した。タマネギといい、今日はあまりツイてない。
鍋の中でオリーブ油とニンニクを熱し、ニンニクに色がつきかけた
ところでさきほど赤ワインに漬けておいた牛肉を入れて炒める。
牛肉に火が通ったところで野菜投入。
タマネギがしんなりしてきたら、牛肉を漬けておいた赤ワインの残り汁とトマトソースを投入。
味付けはウスターソース。日本のではなく欧州のウスターソースである。何だか微妙な味で
使い道に困っていたのだが、これなら行けると思い、残ってたのをドボドボと全部入れる。
隠し味にバルサミコ酢を少々。しばらく中火にかけた後、弱火で2時間ほど煮込む。
―そして、晩飯。
Merrain Rouge 2007。先日パリで買った
ボルドーワイン。スーパーで売ってる10ユーロ少々のワインである。
2010年のワインコンクール入賞作らしい。
3年後の2013年、こうして栓が開けられたわけである。
「…!!」おぉ、うめぇ!実に
芳醇な香り。華やかさがありながら派手すぎず、
しっかりとした旨味を湛えながら決して重すぎず、絶妙なバランス。
たかだか10ユーロ少々の安ワインでも思わず感心してしまうほど旨い。
さすがボルドー。いつかボルドーにも行ってみたい。
つまみ。チーズは先日ノルマンディーの村で買ったもの(→
参考)。
白カビの素朴な発酵臭とミルキーなコクが美味。
サラミは家の近所で買ったフランスサラミ。
熟成した旨味はスーパーのPB商品とは思えぬほど旨い。
いずれもワインとの相性は最高である。
―ワインがほとんど空きかけたところで、メインディッシュ。
牛肉の赤ワイン&トマトソース煮。牛肉の形を残したまま柔らかく煮込む…というのが当初の狙いだったのだが、
ボロボロに崩れてしまった。かなり筋ばってた肉だったのでちょっとやそっとじゃ
煮崩れしないと思っていた。きっと赤ワインに2時間ほど漬けておいたせいだろう。
ワインの酵素で肉の繊維を分解する、みたいな作用が狙い以上に働いたと思われる。
或いは煮すぎだろうか。肉の原形を留めつつ柔らかく仕上げるにはどこか修正が必要だ。
うん、これは牛肉の煮込みというより
ハヤシライスと言うべきだろう。
トロトロに煮崩れするまで柔らかくなった牛肉。これはこれで旨そうだ。
最初のチーズとサラミでワインはほとんど空。
アテというよりシメの気分でハヤシライスを口に運ぶ。
「…!!」うめぇ!トロトロ牛肉の旨味が文字通り溶け出している。
赤ワインの風味とトマトソースの柔らかい酸味も相まって、
適当に作ったわりにはかなり上等な味わいに仕上がっている。
そのままだと微妙な味のウスターソースもこれには合ってる気がする。
満腹感と幸福感に浸っていると、急に眠気が襲ってきた。
ボルドーワインがもたらす上質の酔いに任せて深い眠りに着く。