12月12日(木)、フライブルク・イム・ブライスガウ。
UEFAヨーロッパリーグ・グループステージ最終節、
SCフライブルク×セビージャFC。
CLのバイエルン、ドルトムント、シャルケ、レバークーゼン。ELのフランクフルト。
今季UEFA国際大会に出場している他のドイツのクラブは昨日までに全て
グループ突破を決めている。フライブルクが続けばドイツ勢全チーム突破だ。
乗るしかない、このビッグウェーブに。
前節終了時点の順位は以下の通り。
1位 セビージャ (勝ち点9)
2位 フライブルク (勝ち点6)
3位 リベレツ (勝ち点6)
4位 エストリル (勝ち点3)
ここまで苦戦が続いたフライブルクだが、前節アウェーでスロバン・リベレツ(チェコ)に勝利。
グループリーグ突破の可能性を残して今日の試合を迎える。セビージャに勝利、或いは
勝てなくてもリベレツに勝ち点を越えられなければ晴れて決勝トーナメント進出が決まる。
仮にフライブルクとリベレツが両方勝ってセビージャを含む3チームが勝ち点9で並んだ場合、
エストリルを除く当該3チーム間におけるリーグの成績で順位が決まる。すなわち…
1位 フライブルク (勝ち点7)
2位 セビージャ (勝ち点5)
3位 リベレツ (勝ち点3)
フライブルクはまだ何と
首位通過の可能性があるのだ。
フライブルク勝利、リベレツドロー以下の場合はフライブルクとセビージャが勝ち点9で並び、
当該2チーム間の成績で1位2位が決まる。セビージャにはアウェーで0-2で負けているため、
首位で抜けるには3点差以上で勝たなければならない。
2点差の場合は得失点差で並ぶが、3-1だとアウェーゴールでセビージャ首位、
2-0でも過去5年間だかの実績を数値化したポイントで結局セビージャが首位になる。
もちろん2位で全然構わないので、リベレツの取りこぼし(エストリルの頑張り)に期待したい。
フライブルクの先発は以下の通り。
バウマン
ゾルク - クルマシュ - ヘーン - ギュンター
ギンター - ヘフラー
フェルナンデス - ロレンツォーニ
ダリダ - メフメディ
アウェーの
セビージャサポーター。
リベレツがエストリル相手に取りこぼす可能性が低いことを考えると、
実質セビージャに勝利が求められるフライブルクは若干不利。
しかし、今のセビージャに付け入る隙が全くないわけではないと思う。
(現に前節もホームでエストリルに終盤追いつかれて勝利を逃している。)
2013年最後の「祭り」。何とか勝ちきって、来年まで夢を持ち越したい。
ここマゲゾーラー・シュタディオンに、あの
ユベントスや
ナポリを迎えたい。
―21:05、キックオフ。
ダリダへのファールでいきなりフリーキックのチャンス。
「…!!」
クルマシュのヘッドは惜しくもGKに阻まれるも、序盤はフライブルクが試合の流れを掴む。
ヴラディミール・ダリダ。
チェコ代表MF、満を持して獲得した超大物。
アドミール・メフメディとともにフライブルクの攻撃の要である。
ニコライ・ロレンツォーニ。
育成出身。コクランの負傷で今日は左ウイングの先発に抜擢された。
マティアス・ギンター。
シュスター離脱後はボランチでの出場が多く、ここでも非凡な才能を発揮している。
あの
ドルトムントが獲得に乗り出すのではないか…という噂も囁かれているが、
ギンターが冬に出て行ったらマジで降格してしまうかもしれない。
時間が経つにつれ、セビージャが徐々に盛り返してきた。とりわけ、
ディエゴ・ペロッティがドリブルで
ヌルヌルと突破していく様が印象深い。
ペロッティが
ヌルヌル。
一見卑猥な表現に眉をひそめる方も多いかもしれないが、実際そうなんだから仕方がない。
ブンデスでは見られない独特のリズム。こういうのを見られるのが国際大会の醍醐味である。
「…!?」
だあぁ…orz 前半40分、
セビージャ先制。
ペロッティがヌルヌルとライン際をえぐり、イボラがフィニッシュ。
これは技ありとしか言い様がない。ここまで概ねフライブルク優勢で
推移してきたが、結局先制点を許してしまった。
オリバー・バウマン。
シュスター離脱後はバウマンがキャプテンマークを巻いている。
逆転を目指して後半突入。
「…!!」
おい、あれ決めろよ!
セビージャGKのパントキックが詰めていたジェルソン・フェルナンデスの
背中に直撃。メフメディがすかさずボールを奪ってフェルナンデスにパス、
ゴール至近距離でGKと1対1という
スーパービッグチャンスが生まれる。
しかしこれをフェルナンデスが思いっきり吹かしてしまった。
イヴァン・ラキティッチ。
クロアチア代表、元シャルケ04。
後半60分過ぎに主審がプレーを止める。誰か動けなくなったっぽい。
…動けなくなったのは、
線審だった。どこか足を痛めたようだ。
これは珍しい。審判が動けなくなったのを見るのはもちろん初めて。
代わりの線審が颯爽とピッチに現れると、スタンドから大歓声が上がった(笑)。
なかなか同点に追いつけないフライブルクは
パヴェル・クルマシュらCBをかなり前線まで上げて状況打開を図る。
しかし、前のめりになった結果後ろの守備がスカスカになり、
セビージャに幾度も決定的チャンスを作られる。さっきラキティッチが
完全どフリーで放ったシュートは運よくゴールポストに弾かれたが、
また次のピンチ。
あー、さすがにこりゃダメだろ(笑)。
と思ったら
バウマンがビッグセーブ!
いやー、今のカッコよかった。
しかし、試合終了間際にはきっちり決められて
万事休す。
最終スコア
0-2。リベレツがエストリルに勝ったため、
SCフライブルクは
グループステージ敗退が決まった。
アンドレア・ピルロやゴンザロ・イグアインを
マゲゾーラー・シュタディオンのピッチで拝む夢は叶わなかった。
無念。
このグループを突破するのは決して難しいハードルではないと思っていた。
セビージャはともかく、残り2つは聞いたこともないクラブである。
第1節のリベレツ戦。2点リードで前半を折り返したとき、僕は幸せの絶頂にいた。
夢の国際舞台で躍動するSCフライブルクの姿に痺れっぱなしだった。
しかし、このハーフタイムを境に転落が始まった。
後半に信じられない凡ミス2発で同点に追いつかれ、勝ち点2を失う(→
参考)。
続くアウェーのセビージャ戦では全く見せ場なく敗戦(→
参考)、
第3節ホームのエストリル戦も優位に進めながら勝ちきれなかった(→
参考)。
こうして振り返ると、正直「あまりいい思い出がなかった」と言わざるを得ない。
しかし、UEFAヨーロッパリーグの本戦計6試合を戦い、
うち4試合を現地で見られたのは幸せ以外の何物でもない。フライブルクのような
弱小クラブのファンにとっては10年に一度あるかないかの極めて貴重な体験である。
また試合内容こそ悪かったが、セビージャ遠征は最高に高揚感溢れるイベントだった。
何より、リーグ戦との両立に苦しむ厳しい日程、かつ故障者続出の中、
全6試合を果敢に戦い抜いた選手たちには心から拍手を送りたい。
ELもポカールも敗退した今、再びリーグ戦に集中できる環境が整った。
ここからの巻き返しに期待している。